つま先だけでは不可能なこともあるので、かかとを使うことになると思いますが、私なりのかかとの使い方の例としていくつか挙げておきます。
同音が4つ連続の場合は、単純につま先とかかとを交互に使うことで、次の小節の強拍をつま先でしっかり弾けます。
8分休符から始まり、次の小節が違う音になる場合は、同音から違う音へはつま先で移動します。
8分休符から始まり、次の小節も同じ音の場合は、単純につま先とかかとを交互に使います。
人によってやりやすさは異なると思いますので、この例を参考にした上で弾きやすい形を探ってください。
sfの指示が所々ありますが、基本的なやり方としてはイニシャル、アフターともに効かせるイメージです。しかし、どちらかというと、弦楽器はイニシャルが、管楽器はアフターが強めとも言え、あるいは、8分音符はイニシャルが、4分音符や2分音符はアフターが強めとも言えます。また、タッチのみで表現しなければいけないわけではないので、必要に応じてエクスプレッションペダルも併用しましょう。
A.T.（f）の指示がついているところは、できるだけ素早くアフタータッチを効かせてください。スピーディーに打鍵し、その勢いを使って鍵盤を下まで押し込む感覚です。
[H]の34小節目のffは、素早くエスクプレッションペダルを上げるのはもちろん、強い打鍵によるイニシャルタッチで音質を変えることも心がけましょう。
[M]10小節目のMEMORY[1]と18小節目のMEMORY[3]のペダルでテンポエコーを使っています。ご自身のテンポに合わせて変更してください。また、14小節目と23小節目はディレイ効果が不要なので、スタッカートで弾かないように注意しましょう。
[O]にある下鍵盤に対する指示ですが、原曲でティンパニが演奏する譜例４を再現しています。1小節間アフタータッチを効かせて、その後の1小節間で抜いていきます。抜くのは徐々に行うイメージですが、オン・オフのように、急激に抜くのでもよいかと思います。
強い部分と弱い部分、歯切れのよい部分とうたう部分、といったメリハリをうまく表現できるように心がけて演奏してください。 （岩崎 孝昭）