ヴィンチェンツォ・ベッリーニは、19世紀前半のイタリアを代表する作曲家です。病弱だったため短い生涯でしたが、優美で繊細なメロディのオペラ（11作品）や、サロン歌曲を30曲残しています。声楽を学ぶ学生にも人気のあるこの歌は、歌曲集「3つのアリエッタ」の第3曲で、ベッリーニがナポリの王立音楽院在学中の頃の作品と言われています。夜空に銀色の輝きを放ちながら浮かぶ月を眺めながら恋人を想い、その想いが届くように願う、穏やかな愛の歌です。イントロや、全体の雰囲気、音使いは、原曲を大切に扱いながらも、所々にジャズテイストのハーモニーをそっと忍ばせたアレンジです。途中でキーが変わるところは、不安や葛藤のような少しだけ重たい空気感を持たせていますが、［H］に入る前で、優しい穏やかな気持ちに落ち着いていきます。［D］は、伴奏形にも現れるように、浮き立つような気持ちや愛おしさを表現してみてください。［H］からダルセーニョで戻らず、そのままコーダに入って、短いサイズで演奏することも可能です。※歌詞なしの譜面です。