ヴァイオリン・ソナタ 第5番 へ長調 「春」 第1楽章 [STAGEAクラシック作曲家・シリーズ (グレード5〜3級) Vol.6 ベートーヴェン]

バイオリンとオーケストラの編成にアレンジしました。楽器編成により、アーティキュレーションや強弱なども原曲から変更した部分があります。また、解釈や表現は演奏者によって様々ありますので、原曲の音源もいくつか聴いてみることをおすすめします。
曲全体を通して、エクスプレッションペダルの指示でpの部分が多くありますが、小さくなりすぎないように注意して演奏してください。
[A]の右手は、アフタータッチやエクスプレッションペダルを使ってフレーズの抑揚を表現し、メロディーの美しさを存分に感じながら演奏しましょう。ここは原曲と同じバイオリンソロの設定ですので、音源を聴いて表現の参考にしてもよいと思います。また、右手の4小節3拍目のように、4分音符にスタッカートがついている箇所がいくつかあります。その音だけへの意識ではなく、その前からのフレージングにも注意しながら、音価や離鍵に気をつけて演奏してください。
[D]からは少し曲調が変化し、躍動感が出てきます。左手の伴奏はcresc.とともに、sfpに向けてタッチを強め、その後弱めてからは強弱記号の変化に合わせるのではなく、同様の強さをキープするイメージで演奏するとよいでしょう。5小節1拍目の裏拍からは、[D]冒頭部分の強さのタッチに戻してください。右手は冒頭と同様、バイオリンのソロですが、雰囲気や表情の違いが出るようにタッチを工夫してみてください。右手のsfは、アフタータッチも使い、音を響かせるイメージで演奏しましょう。9小節目からのフレーズは、sfに向けて、8分音符で続く同音にタッチで変化をつけるとよいと思います。また、rinfの前後は、エクスプレッションペダルも使い、それまでのsfと違う表情が出るように工夫してみましょう。[E][I][J]は、楽器編成、和音の配置、調性などの違いはありますが、基本的には同様の解釈で演奏してください。
[F]の右手で弾くスケールのような動きは、少し変化をつけてみるとよいと思います。上行するフレーズは、sfに向かって強めていく、逆に下行するフレーズは弱めていく、というイメージの解釈もできると思いますので、いろいろな表現を試してみてください。
[G]は最初の主題に戻りますが、メロディーやハーモニーの変化などから雰囲気の違いを感じて演奏しましょう。4小節目からのペダルは、メロディーに呼応するようなフレーズなので、sfに向けてクレッシェンドするイメージで、可能な場合はアフタータッチも使って表現してください。
[K]はシフトチェンジが多いので、切り替わるところで違和感がないように、指を離すタイミングも考慮しながら演奏してください。 （川島 容子）