本当にいい曲というのは、どんなアレンジになっても「いい曲オーラ」を失わないもの。ハナミズキをジャズで、という難しい問いに当初「大丈夫かなあ」と心配したのは、まさに杞憂でした。途中ジャズワルツ（3拍子のスウィング）を挿入し、4分の4拍子と交互に出てきたりもしますが、そんなトリックが気にならないほど不思議とすんなり収まるのも、この曲が名曲たる所以でしょう。
　ジャズワルツでは、ベースラインに付点4分音符がたくさん出てきますが、慣れるまではこの感じ方がなかなか難しいと思います。実際のジャズベースで3拍子の曲を聴いてみて参考にしてみてください。[A]に出てくる「doot」と「do」の使い分け（前者がスタッカート気味に短く歌うのに対し、後者はレガート気味に歌います）は、Lee Abe公式サイト「Crazy Harmony」内「Education」セクションに掲載のサンプルを参考にすると分かりやすいでしょう。
　この曲では、サビが何度も繰り返されていますが、それ故に曲全体を通して強弱をしっかり表現していかないと、聞いている人に飽きがきてしまいがちです。[F]で一度しっかり音量を落とし、最後のサビで歌い上げるための前フリをしっかりしておくことが大切です。fのバックグラウンドのハーモニーはやや難しめの和音ですが、練習の段階で一音一音しっかり確認して音合わせをして、自信を持って本番に臨めるようにじっくり取り組んでみてください。