短い生涯であっても恋多き人生であったことで知られる竹久夢二の詩に、作曲家でヴァイオリン奏者だった多忠亮が曲を付けてセノオ楽譜から出版し、一斉を風靡する名曲になりました。実ることのなかったひと夏のはかない恋を、夏の夕方開花して一晩咲き続け、朝にはしぼんでしまう一夜花のマツヨイグサ属の花に例えて綴った歌です。夢二が亡くなって4年後に、西條八十が2番の詞を付けたそうですが、ほとんど知られていないようです。原曲はハ短調、8分の6拍子ですが、愁いの度合いを少しだけ強く感じながら演奏していただきたいと願い、4分の3拍子でアレンジしました。従って、流れとしては2小節単位でありながらも、1小節の中に封じ込めた想いの比重が、かなり重たく感じられると思います。また、イントロから［C］までは、黒鍵を使っていないところも大きな特徴です。［D］以降で少しずつハーモニーが複雑になって、物語の進展度になぞらえたり、切ない胸の内を表現することもできますね。専用の紙シートに穴をあけて手廻し演奏するオルゴールの音楽にも対応させることが可能なアレンジです。※歌詞なしの譜面です。