19世紀フランスの作曲家、シャルル・フランソワ・グノー（1818‐98）は、ゲーテの小説を題材にしたオペラ『ファウスト』の作者として有名だが、後半生に手がけたジャンルは宗教音楽が中心だった。その代表作にあたるのが、音楽の父、ヨハン・セバスティアン・バッハ（1685‐1750）の「平均律クラヴィーア曲集第1巻」の第1曲であるハ長調の「前奏曲」を伴奏に、グノーが旋律をつけたこの声楽曲。そこに聖母マリアを祝福する「アヴェ・マリア」の歌詞を添えることで、万人が愛する名曲となった本作は、彼の画期的なアイディア作品だったと言えるかもしれない。1859年作曲。（解説：渡辺謙太郎）
※原調(高声)はG-durですが、歌いやすく移調してあります。声域に余裕のある場合はG-durをご活用ください。