モルダウ(連作交響詩『わが祖国』より)

ベドルジフ・スメタナが55歳の時に着手し、約5年の歳月をかけて作った6つの交響詩からなる大作。連作交響詩の２曲目が、歌曲、合唱曲としてもよく知られている作品です。“滔々と流れる大河と、その両岸に広がる景色を描きながら” という解釈はもちろんありますが、原曲の持つ壮大な雰囲気を残しつつも、まったく新しい解釈もできる『ピアノスタイル』ならではのギュッと凝縮したサイズと内容でまとめてみました。例えば、モルダウ河を下る観光案内の代表的な景色の写真を見ながら、森林や牧草地、廃墟になった宮殿、農夫たちの結婚式の様子など、いろいろなことを思い描くような楽しみ方にも似ているかもしれませんね。水を表わす音型の16分音符のフレーズは、滑らかな流れを常に感じてください。まずは、良い指使いを見つけることが大切です。［C］以降は、右手のメロディの呼吸で弾くことを意識しましょう。［G］と［H］は、アーティキュレーションを活かした動きのある演奏を心がけてください。