「レクイエム 二短調 K.626」より

「レクイエム(鎮魂曲)」は、キリスト教において、死者が天国に迎えられるように神に祈る典礼で歌われるミサ曲です。モーツァルトはこの曲の途中まで書いたところで亡くなり、その後は弟子のジュスマイヤーが完結させました。祈りに満ちた美しいこの曲を内省的に、そして敬虔な気持ちを持って崇高に奏でてください。常にピアノのハーモニーを感じて「調和」しましょう。5～8小節目にかけてのD音からA音に至る音の上昇に伴い、気持ちも徐々に高めて曲の流れをつくりだしてください。5、6小節目の休止符の時でも気持ちを前向きに持っていましょう。9小節目はその前に弓をすばやく弓元方向に戻し、落ち着いてpで弾き始めてください。26～28小節目はG線の豊かで深みのある音色で曲の厚みを出す様、心がけましょう。曲の最後である30小節目は、教会の高い天井に響き、さらには天にまで届く昇華された聖なる音のイメージで終わりましょう。この曲はファーストポジションだけでも弾けます。また、22、23小節目と30小節目をオクターブ上で演奏して曲の音域を拡げるのもよいでしょう。