「ママがサンタにキスをした」([A])は、さまざまなパートに散らばるメロデイの受け渡しがスムーズになるとよいですね。「ひいらぎかざろう」([B])のI(Primo)は鈴の音をイメージして。「もろびとこぞりて」([E]～[F])はしっかりとしたタッチで演奏しましょう。[G]は間髪入れずに入りましょう。[H]の直前のmolto rit．は、続くAdagioの部分とのテンポの整合性を考えて行ってください。「きよしこの夜」([H])のIの和音奏は控えめな音量で、遠くできらめいている感じ。なお、この和音は一見譜読みが大変ですが、どれも長三和音か短三和音になっています。「ママがサンタにキスをした」は、原曲の曲想を変えて、クラシカルなスタイルでアレンジしました。「ひいらぎかざろう」は、トナカイのそりをイメージした伴奏とともにお楽しみください。そのまま「ジングル・ベル」へと進みます。ここではテーマをカノン風に追っかけたり、「ひいらぎかざろう」のテーマが絡んだりしています。「もろびとこぞりて」は原曲そのままの古典スタイル、続く「きよしこの夜」は、神秘的で色彩豊かな音世界が広がります。メシアン風*な和音による伴奏Iから、新しい音の出会いを感じていただければ幸いです。

*メシアン：フランスの現代作曲家オリビエ・メシアン(1908-1992) のこと。独自の旋法により新しい響きを創造した。