ジョプリンは、「ラグタイム王」といわれました。「ラグタイム」とは、アメリカ中部の黒人から生まれた音楽で、2拍子の明るく陽気な音楽です。彼が亡くなったあと、1920年代までアメリカ中で大流行しました。この「エンターテイナー」は、映画「スティング」のヒットがきっかけで息を吹き返したのです。だれでもイントロを聴けばすぐにわかるほど、広く愛されている曲です。ラグタイムは、2拍子の曲ですが、速くはありません。この曲でも、テンポを十分イメージしてから、イントロを始めましょう。4小節目の決めの和音は、8分休符でブレスをとってしっかりと。メロディは、黒人のリズム感覚が出ているシンコペーションが特徴です。コミカルでペーソスのある旋律を味わってください。左右ともに多いオクターブの和音は、力を抜いてじっくり慣れていきましょう。場面ごとに段落の終わりはカデンツを感じ、アウフタクトもビートにのって。ツー・ステップをイメージして、楽しく演奏しましょう。(佐藤薫子)